春の祭典 [DVD]
春の祭典は演奏する側にとって、大変難しい曲であるが、小澤征爾の構成感のある、それでいて感情があふれんばかりの、熱い演奏が聞ける一枚である。小澤征爾の指揮もたっぷり見ることができ、その繊細さと的確さに、非常に心打たれるものがある。是非、おすすめしたい。
NHKクラシカル 小澤征爾 ベルリン・フィル 「悲愴」 2008年ベルリン公演 [Blu-ray]
私の環境は80インチスクリーンでのプロジェクター+7.1chのシアタールームです。これまで見た映画ソフトよりブルーレイの良さが体感できるソフトでした。楽器や表情が明瞭でステージの息遣いが伝わってきます。このようなライブ感のあるクローズアップのドキュメント的な映像ではDVDとの差が歴然です。音声はドルビーデジタルやDTSを使っていないので、期待してませんでしたが、そういったエフェクトを介さないことで各楽器の生音が生きている感じがしましたし、十分すぎるほど音は拾えていると思います。ホールの臨場感より、ステージ上の生音を正確に再現が主たる目的であるソフトだと思います。個人的には2CHで聴いたほうが好みでした。映像に負けない大音量で聴くとさらにソフトが生きてきます。
チャイコフスキー:弦楽セレナード/モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジー
サイトウキネンオーケストラの弦楽セレナーデは、すばらしく奏でています。このCDの録音も非常にすばらしいです。自分は長野出身ですが、この録音は長野岡谷市にあるカノラホールで録音されたもので、地元の方は良くご存知かと思いますが、そんなに有名では無いホールでここまですばらしい録音が出来ることは非常に嬉しい限りです。オーケストラが初めての方にも十分楽しませてくれるCDです。恐らく数少ない貴重なものになる可能性がありますので、在庫があったら買いですよ。
小澤&ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート2002 [VHS]
曲については私が語らずとも他のレビュアーが語ってくれているので、今さら言える目新しいこともないだろう。
そこでちょっとしたトリビアを・・・。
実はそれよりも私が彼のニューイヤーで膝を打ったのは別のことにだった。
恒例の新年の挨拶、小澤は国籍さまざまなウィーン・フィルの楽団員たちに、世界中の言語で挨拶を連呼させた。そしていよいよ小澤の番、と思いきや、なんと彼はライナー・キュッヒルに「あけましておめでとう」といわせるのである。日本人を妻にもつから、とレディー優先のお国柄に似合う実に洒落た演出である。
そしてもっとも驚くことに小澤自身は「新年好(シンニェンハオ)」と締めくくるのである!!
なるほど!小澤は日本生まれではない。彼の生まれは戦前の満洲・奉天市(現・瀋陽市)。しかも彼の父「小澤開作(開策)」(満洲発展に貢献した)によって名づけられた彼の名は、満洲事変の発起人、板垣「征」四郎と石原莞「爾」から一文字ずつ取っている。
中国人楽団員がまだいないウィーン・フィルで「新年好」と唱えるのに彼以上の適任者がいただろうか。
新年早々、実にセンスのいい洒落た演出ではないか。素敵な挨拶に、それに続く危なげない実に堂々とした演奏。
世界の小澤はまさしくこの日、「Ozawa is the World」となったことを世界に示したのだ。