
Pearl (Exp)
ブルース、ソウル、R&Bに根ざした白人ロックシンガーの女王が、ジャニス・ジョプリンだ。ロック全盛期だった激動の60年代後半にデビューし、1970年にオーバードース(薬物過剰摂取)で27歳の生涯を閉じている。魂を揺さぶるディープなグルーブ感覚と喉が潰れる程の激しいシャウトが特徴だった。
遺作となった本作では、まず、バックバンド(フルティルト・ブギ)の演奏が聞き物だ。奥行きと一体感のある端正なサウンドで、ジャニスの歌との確かな相乗効果を生む。(彼等の上手さはインストナンバーとなった”Burried Alive In Blues”を聴いてもらえば判るはず。オルガン、ピアノのダブルキーボードの五人組。)次に、自作曲とR&Bカバーから成る選曲が良い。粒よりの曲が揃っていて駄曲は一曲もない。(Garnett Mimms,Bobby Womack,Howard Tateら黒人ソウルシンガー達の名曲を取り上げている。Dann Penn, Andrew Oldhamの名コンビによる”Woman Left Lonely”は、ジャニスの昔からの愛唱歌でもある。John Hallの”Half Moon”も入っている。)
そんな曲良し、バンド良しに燃えて、ノリに乗った歌声を披露するのが”Pearl”ことジャニス・ジョップリンである。燃え尽きようとするかの如く、パワフルかつソウルフルに全身全霊で迫ってくる。艶やかで暖かい歌声は、荘厳で説得力があり、まるで彼女の生き様を現しているかのようでワイルドだ。
力が余って所々にアラが見えなくもないがそれもまた良しである。歌とドラッグと男?に命をかけたジャニスがここにいる。その姿は限りなく美しい。彼女の早世が"something else"を添加している点は否定できないが、若さと躍動感が眩しい60年代ロックを代表する傑作アルバムと言えよう。誰がこの「鎖と鉄の玉」を避けて通れようか?

JANIS A FILM [VHS]
ジャニス・ジョップリンやブルースの事は全く知りませんでしたが、このビデオをたまたま観ました。
ジャニスの化粧っ気もなしで熱狂的・野生的にブルースを唄っている姿に圧巻!!
喉の奥から絞り出すかのようなうめき声・高いささやき声・ストレートなパンチのある声で感情をぶつけ唄う姿に女性の私でも惚れてしまうほどです。
ビデオを観ていると、まるで生のライブを観ているかのような錯覚を起こし、
いつのまにか、魂が高揚し突き動かされてしまいます。
ジャニスの歌は、「苦しいよ~悲しいよ~助けて~」って叫んでいるかのようです。
歌詞にも嘘偽りないジャニスの気持ちが表れていて(歌詞は字幕で出ます)これこそが本物のブルース(魂の歌)だと思わずにはいられません。
ジャニスが幼い頃から受け続けてきた無理解・偏見・嘲笑が心の傷となり残っていることがインタビューからもみてとれ、深い傷を受けた人なら誰もがジャニスに共感せずにはいられないでしょう。

ローズ オリジナル・サウンドトラック
The Roseが聞きたくて買ったのですが、他にも一度は聞いたことのある名曲ぞろいで驚きました。BETTE MIDLERはすばらしいシンガーです。聞いていると泣きたくなるくらいの感動があります。本当に買ってよかった〜。

Greatest Hits
伝説に振り回されるのはやめておきたい。それでもジャニスはいつも、切ないくらいめいっぱいシャウトしててかっこいい。激しく狂おしい6や79も、激唱する2や4も、大人っぽい歌声を聴かせてくれる8もそれぞれがジャニスらしくて素敵だけど、一番好きなのは5。伝説に埋もれ、酒やドラッグやハードなロックに溺れる姿とは違う、かわいらしい一人の女の子としてのジャニスの姿が浮かび上がる。
「自由、言い換えれば、失うものなど何もないこと。自由でなけりゃ何の意味もないわ。自由になるのは簡単な事だった。あんたがブルースを口ずさむだけで、あたしはいい気分だったわ。」
まったくその通りの言葉をジャニスに贈りたい。

ジャニス [DVD]
劇中で、ママ・キャス(プロのシンガー)が、ジャニスの歌唱を見て口をポカーンと開けて驚いている場面があります。ジャニスを見たことがない人はきっとこうなるでしょう。
ただ、ジャニスの私生活が悲惨だったというのはステレオタイプな推測です。それは、自分の理解できないもの、嫌いなものを否定していた(否定すれば自分が安心できる)ジャニスの田舎の連中の思考と同じ。
美空ひばり、ビートルズ・・登場したときには「権威」という古い価値観に叩かれていました。