
「事業仕分け」の力 (集英社新書 540A)
民主党の”目玉商品”としてマスコミを総動員して喧伝し導入した
「事業仕分け」の正しさや意義を述べたのが本書だ。
それまで官僚によって隠されていた数々の事業を
いったん表に出したことは評価したい。
少なくとも、自公連立政権の時に「事業仕分け」のようなことは
国民の目には見えてこなかったのだから。
ただ、いったん表に出しただけで、最終結果は政治的判断という
底が知れないほどの「闇の中」に消えたわけだが・・・
「事業仕分け」の問題は他にもある。
「事業仕分け」そのものにもコスト意識があるとは思えないお金が
少なからず使われていることだ。
最もわかりやすい例を挙げれば、タイトルにも書いたように
「事業仕分け」で使った机のお値段は、実に1362万円!
「事業仕分け」に向けられた視線の強さや鋭さは、
仕分け対象になった事業だけではなかったということだ。
本書が発刊されたことの本当の意味を確認するためにも
「襟を正す」ことだけは常に考えてほしい。

官愚の国
著者が、大蔵省時代、異端とされていた様がうかがえる。いわゆる東大法学部派閥が基本形とされる世界である。
なかなか庶民感覚は受け入れられなかったであろう。(別に著者が庶民だったというわけではない)
なるほど知恵者としての著者のたくましさも感じる。
官僚社会の考察資料としてオススメ一冊。
但し絶対やってはいけないことは鵜呑みにすることである。これはあくまで元大蔵省の一意見。
自分の目で確かめてみることをお勧めする。
そのための努力を惜しまなければきっと、報われる。