
実務家が答える 年金基金資産運用相談室
この手のハウツー本で、学校教授や評論家が書いた本、外国人が書いた本の翻訳は腐るほどあるが、現場の実務家(しかも実名で出してるところがいい)が書き下ろした本が出るなんて年金業界も進歩しているのだと改めて実感した。年金基金がどのようなことを考え行動しているのかが克明に実例を豊富に取り上げ描かれている。題名からみると年金基金の人たちを対象にしているように感じるが、むしろ運用機関がお客様である年金基金を知るためにはこれほど参考になる本はない、と断言できる。運用機関必携の本であることを保証する!

誰も書けなかった厚生年金基金―厚生年金基金相談実例集Q&A
本書は今危機が叫ばれる厚生年金基金について、もっともわかりやすく書かれた本です。複雑怪奇な年金制度の中で、さらにわけのわからない存在になっている厚生年金基金、従来は分厚い専門書か六法しかなかったのが、真島伸一郎にかかればここまで簡単になるのか、とうならずにはいられない一冊です。

会社の年金が危ない―厚生年金基金・適格退職年金はこうして減らされるそして会社は行き詰まる
厚生年金基金や適格退職年金についての知識はなかったが、とりあえず自分に関係あることなので読んでみたが、これは結構マズイことになっていると感じて真剣に読み進んだ。厚生年金基金などの仕組みが退職金の割賦だとは知らなかったが、退職金を年金で受け取ることを選んだ場合に、厚生年金基金が解散してしまうと退職金の何割かをもらい損ねることがあると知り、そんな理不尽な仕組みがあるのかと驚いた。
年金制度改革の議論では将来の年金が50%を下回るかどうかばかりが検討対象になっているが、それよりもこちらの方が影響は大きいのではないか。
だいたいこれまで厚生年金基金などの仕組みが普通の会社員にはほとんど説明されていないことがおかしかったのだ。この点は著者も指摘している。
年金制度改革は先送りして、企業年金制度についてももう一度じっくり考え直すべきだろう。