恋文の技術 (ポプラ文庫)
書簡体形式と言うから夢野久作の影響があるのだろうか堅苦しさや古さはなく深く勘ぐる必要はない
序盤から森見氏の得意なウィットユーモア全開のセンテンス。軽快な韻を踏んだ文、あのフレーズをパロディしたりとページを繰る手が止まらない。
中盤中頃から少し様相が変わり学生時代末期特有の自己変革!?と恋の葛藤や先々への不安が入り混じった手紙(内容)に鮮やかにシフトしていく
ともすれば、なセンチメンタルを阿呆な描写で笑わせ心地よさ引き出すワザは見事!
いやはやあのような文体でありながら本質を外さず大事な所を散りばめていく所は真に稀有な作家です
兎に角呟きたい科白満載です
そして終盤の収束転結も嬉しくなる「手紙」。
果たして阿呆な手紙学生が編み出した恋文の技術とは如何に!?
また過去の作品を読んでる方にはニヤリとさせる遊び心もありでファンは絶対買いの一作
夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)
変わった小説ですね。馴染めなかったとか入っていけなかったと書いている方が何人かいらっしゃいますが、大丈夫。そういう人は、たぶん正常です(笑)。
舞台は京都。古風で大げさな表現を散りばめた文体で、現実とも幻想ともつかない調子の物語がユーモラスに進行する。場面は大きく4つ。先斗町での不思議な宴会騒ぎ。下鴨納涼古本祭りと不気味な闇鍋。大学祭での奇妙な寸劇と騒動。京都を席捲する風邪とフィナーレ。
黒髪の後輩に心を惹かれ、悶々としながら深遠に外堀を埋める努力を続ける先輩。その先輩に、どこで遭っても、「奇遇ですねえ!」という女の子。個性的というより、奇妙と表現した方がふさわしい登場人物たち。不思議に満ちた雰囲気の中で、先輩と乙女の視点がテンポ良く切り替わる。
個人的には、事前の期待があまりに大きかっただけに、正直、そこまでではなかったかな、というのもある。しかし、ストーリーはよく練られているし、ユニークで、なかなか見事な作品である。どこかユーモラスで、読後感もさわやか。それから、表紙の絵は、このお話にぴったりである。
四畳半神話大系 第1巻 [DVD]
テレビ放送は未見でしたが書店のPVをみて購入を決意しました。
「神話大系」というところからなにか不思議な世界の話かと思っていましたが
いざ見てみるとなんか面白いキャラクターたちが繰り広げる愉快な、でもうる星やつら
などとは違うしっとりと心にかかわってくるような不思議な味を持ったお話が心地よかったです
「テニスサークルキューピッド」での花火爆撃、「みそぎ」での不毛な中傷映画の上映会
しょうもないを通り越す不毛さがもたらす笑い。なかなかシュールです。
登場人物の明石さんは声がぴったり合っていて魅力的ですしね。
舞台「夜は短し歩けよ乙女」 [DVD]
公演後のトークショーにて主演の田中美保に対して
「恋人にするなら誰がいいですか?
結婚するなら誰がいいですか?」という質問がされたそうです。
もちろん(?)その答えは「先輩」ではない!!
では、それぞれ誰を田中美保は選んだのか?
この答えから、日本浪漫派の系譜に森見登美雄を位置づけ
大伴家持以降の日本文学を
「萌え」系とそれ以外の2系統に分類してしまう解説に興味がある方は
浅羽通明氏発行の流行神241号を。
昭和三十年代主義―もう成長しない日本
四畳半神話大系 (角川文庫)
帯に青春コメディとあったので、私好みではないと思っていましたが、なかみ検索を読んでいたら続きが気になって買ってしまいました。
読み始めたら面白くてとまらなくなりました。
いや〜すごいな。よく考えてあるし、計算されている。
青春コメディという言葉からはとても予測できなかった展開。
馬鹿っぽくみえて実はかなり奥深い。
森見さんってすごいなって感服してしまいました。
文体も賛否両論あるみたいですが、私は大好きです。
出町ふたばの豆餅は遠くて買いにいけませんが、カステラは食べたくなって買ってしまいました。
例え一話目で、読みずらいな〜と感じても、一度慣れてしまえば引き込まれて、もっともっと読みたくなります。
読み終えてしまうとなんだかさびしくなり、普通の文章では物足りなくてさらなる森見作品を求めてさまよいでてしまいました。
この本に出会えて本当によかったです。