
心のクスリ
生老病死に関して、識者へのインタビューをまとめた本。生老病死に関して、一人一人が異なる考えを持っていることがよくわかる。そして、肝心なのは知識ではなく心であるということも。
この本の中で、識者によって、全く反対の意見が収録されていることもある。そういう意味では、生老病死に関して誰にでも効く心のくすりはないのであろう。だがいろんな意見を知ることで、心のサプリメントにはなると思う。

日本人の死に時―そんなに長生きしたいですか (幻冬舎新書)
著者の久坂部羊さんは現役の医師です。しかも作家との二束の草鞋。
何とも素晴らしいご本である。
・長寿をもてはやし抗加齢に踊る一方で、日本人は平均で男6.1年、女7.6年間の寝たきり生活を送る。多くの人にとって長生きは苦しい。人の寿命は不公平である。
・だが「寿命を大切に生きる」ことは単なる長寿とはちがうはずだ。
実に鋭い問題提起でございます。そして氏のその対策と言えば、
・まず肝心なのが十分な睡眠。毎日、午後10時台には床に入り7時間以上は寝ます。夜更かしや徹夜は絶対にしません。
・食事では、肉も好きですが、野菜や魚料理などヘルシーなものを食べるよう心がけています。腹八分目で、おかわりはしません。もう少し食べたい時が、やめ時です。
・好きなものを我慢して健康に努力するのは本末転倒。お酒も週に1〜2回飲みます。ビール、ワイン、焼酎・・・
・たばこは吸いません。
・運動も適度に。週1回程度は走っています。
・ただ、健康は人生を充実させる手段で目的ではありません。健康な方にはあまり汲々とせずにと言いたいですね。
・常に死に時を視野に入れて今を生きる。それに尽きるのではないでしょうか。 死に時をイメージしながら生きていると、ものの見方が随分違ってきます。川端康成の“末期の眼”を若いときから持つことができます。死を意識して見ると、毎年見ている桜が特別美しく見える。それと同じで、死を意識して生きると毎日がとても大切に感じられます。
仰るとおり。これだとミトコンドリアは万全ですな。糖質制限で美味しく楽しく、死ぬまで自立、寝たきり生活無しでピンピンコロリと逝きたいものでございます。
皆さんにお勧め出来る良作です。

大学病院のウラは墓場―医学部が患者を殺す (幻冬舎新書)
タイトルだけをみると、「こんなにたくさん医療ミスが起こっている」とか、「実は〜だから医者はダメなんだ」式の、ありきたりな本だと思ってしまいがちだが、本書の内容とは全くもって乖離している。
扇情的なタイトルにしたのだろうけども逆に損をしているように思う。そこだけが惜しい。
内容はというと、極々簡単に言えば「医師だって人間なんだから、過度の期待はするな」ということである。
実際に医師であった著者が、周りの医師にも聞き取り調査をして書いているので説得力があるし(まずウソはないだろう)、何より一般の人間にとっては初めて知ることが多いと思う。
買おうかどうか迷っている人は、中身で判断する方が良い。
個人的には、医療に少しでも興味があるのであれば買わないのは損だと思う。