
MONSTER DRIVE
肩の力が抜けてすっと入り込める「非常にゴキゲンなロック!」と言えるかと。
正直、これまでの布袋作品は、「カッチカチ」でデジタル・システムを駆使した楽曲に思えてならなかった。が、今回は素の布袋・・・ある意味「新しい布袋サウンド」
の誕生を見た気がします。聞けばBOOWY時代のエンジニアとも組み、そしてアナログレコーディングである。結果、飾り気、気取りのないPOPナンバーとなったのでしょう。とはいえ、HOTEIギターは健在。ギター・インスト、ドラマティックな展開の迫り来るGサウンドには布袋魂が宿っています。とにかく聞きやすい!
布袋さんの新境地作品は、これまで布袋未体験のリスナーにも是非聞いて欲しい!

源氏物語九つの変奏 (新潮文庫)
過去の名作を独自にアレンジし、新たな作品として作り直す創作活動は、音楽や絵画の世界ではよく行われている。そうしたカヴァー作品は、オリジナルを踏襲しつつも斬新な改変を試みることによって原作の魅力をより豊かなものにしていく。
その意味では本書は、源氏物語に材をとった当代のカヴァー集といえる内容で、『源氏物語 九つの変奏』というタイトルはぴったりだと思います。
現代の九人の作家たちが、大先輩にあたる紫式部の「源氏物語」の各章を訳していくのですが、原作との「距離感」は作家によってまちまちで、内容を忠実に追った現代語訳もあれば、設定に手を加えた翻案作品もあり、中には、金原ひとみさんの「葵」のように、登場人物のほかは大胆に改作したものもある。アプローチの仕方は違えど、作家たちはおのおののスタイルを打ち出しながら、人物たちの心の機微を描き出していく。
いずれの作品にも原作への敬意が感じられるし、それぞれちがった趣が楽しめ、アンソロジーならではの読みごたえがあります。また、各作品の冒頭に〈原典のあらすじ〉が短く載っているので、「源氏物語」を読んだことがない人(私もその一人)も、作品の中に入っていきやすくなっています。
オビには〈人気作家九人が織り成すまったく新しい「源氏物語」〉とありましたが、本書をきっかけに原作へいざなわれていく人もいるでしょうし、原作を知ったうえで本書を読む楽しさもあると思います
「帚木」松浦理英子/「夕顔」江國香織/「若紫」角田光代/「末摘花」町田康/「葵」金原ひとみ/「須磨」島田雅彦/「蛍」日和聡子/「柏木」桐野夏生/「浮舟」小池昌代

H STORY [DVD]
広島に投下された原爆というもの、それを「アタシはよく知っている」、「いや、キミはなにも知っていない」、「いえ、それでもアタシは知っている」…
二人の男女による、こうした不毛な応酬を延々と反復させることで、原爆の表象不可能性を炙り出したレネの作品を、時を隔てて、再びリメイク=表象しようとするときに引き起こされる、さまざまな困難とノイズ。
しかし、その困難とノイズは、間違ってもひとつの濃密な物語として形成されることなどけっしてなく、物語になりえぬ沈黙に包まれた彷徨が、あくまで希薄に、あくまでぼんやりと維持されてゆくだけだ。
しかしそこには、物語ることの不可能性をすら物語る術を忘却してしまったわたしたちの現在の姿が、如実に表れているのではないだろうか。

けものがれ、俺らの猿と [VHS]
言わずもがな、町田康の小説が映画化されたもののヴィデオ版。小説はストーリー性がなくて、ギャグがふんだんに取り入れられてて笑えるんですが、やはり映像化には無理があったのでわ?暇つぶしには良いのかもしれませんが、ストーリーを楽しみたい人とかいう人には取り敢えずお勧めは出来ません。でも、ムッシュかまやつとか鳥肌実とか、個性的な俳優さんが出てるというのはすっごく良いです。そういうわけで、かろうじて三ツ星☆