硫黄島からの手紙 (特製BOX付 初回限定版) [DVD]
日本人がのんびりお涙頂戴映画から脱却できないからアメリカ人に先を越されてしまった。日本人として恥ずかしいです。「パールハーバー」や「SAYURI」とは雲泥の差の時代考証、当時の日本へのリサーチ。多少言葉使いが気になるもののもし全て当時の言葉遣いでやっていたら当の日本人にも理解しにくくなってしまっていただろう。アメリカ人の監督なのに平気でアメリカ兵が捕虜を射殺するシーンを入れたり、戦史やドキュメンタリーとしてではなくあくまで戦争で人生や人格を変えられていった人達を淡々と描きながら「衛生兵を狙え」とか海岸を兵と物資で埋め尽くしすまでわざと攻撃せず逃げ場を作らないようにしてから攻撃する戦争の非情さも忘れていません。イーストウッド演出には脱帽です。
武器の考証も正確です。最も米兵を倒した武器といわれる「92式重機関銃」も大活躍。加瀬亮の使う94式自動拳銃も無骨な後期生産型でした。こういった考証のできる日本人がいないというのも変な話です。
冷たい月 VOL.1 [VHS]
もともとは、仲間由紀恵さんの出演していたドラマ『美しい隣人』関連のブログに、「『美しい隣人』とこの作品が似ている」と紹介されていたので、それならば、と思い見た作品です。
復讐に燃えるヒロイン・希代加を演じる中森明菜さんは、表の顔から裏の顔への表情の豹変の仕方が激しくて、次に何を仕掛けていくんだろう、とか思ってしまって夢中で見てしまいました。復讐のターゲット・美咲を演じる永作博美さんも、追い詰められながらも懸命に立ち向かっていくもう一人のヒロインを力強く表現しています。
しかし、この作品は単なる復讐劇とは違います。この作品を全話通して見ることでこの作品の伝えたいことを知ることができます。復讐劇の背後に潜むものが何なのか、あなたの目でぜひ確かめてください。
砂の器 [VHS]
松本清張作家活動40年記念としてテレビ朝日が制作した作品。
松竹映画版より原作に近く、2時間の枠で複雑な原作をテンポ良くうまくまとめています。
犯人を憎み必ず手錠をかけてやるという強い執念を持つ今西刑事を田中邦衛が、そして冷酷で狡猾な犯人・和賀英良を佐藤浩市が好演しています。
捜査を積み重ねて和賀が犯人だと推測されるも、自殺や殺害により証人は生存せず物的証拠もなく、結局逮捕は和賀の自供によるしかないことになる。「和賀英良は冷酷な男だが、本浦秀夫は違うと思う。私はそれに懸けてみる」として今西が真正面から和賀と向き合い自供に追い込んでゆく。これは映画にはなかった場面で、じっくり時間をかけていてこのドラマの見所です。
もちろん松竹映画版は深く感動しましたしいろんな意味でよい作品でした。一方このドラマは刑事ものの色合いが強く映画とはまた違った良さがあります。
平成ガメラ Blu-ray BOX
作品の内容については今さら言うことはないと思います。怪獣映画の傑作のブルーレイ版、やっと出たかって感じです。
全てではないですが、DVD版と見比べてみると全体的な画のクオリティーアップは間違いないです。たしかに、ハイビジョン然とした画質を予想していたら「こんなものか?」と、感じるかもしれません。大げさすぎない、自然な画質なので、物足りなさを覚える方もいるでしょう。しかし、DVDでは暗いシーンでつぶれ気味の画も、BDでははっきりと見ることができます。G2での兵隊レギオンの解剖シーンや、特にCGを使用したシーン、例えばG3でのガメラとイリスの空中戦などは、BD版の方が鮮明に見れると思います。
また、まったくといって良いほどノイズも入りませんし、人の表情などもBD版の方がハッキリとしてます。それに値段も良心的な方でしょう。ファンなら買って損はないと思います。
私は結局、DVD版もBD版も買ってしまいました…
彦馬がゆく
amazonのユーザーの皆さんに朗報です。(株)PARCOから発売されているパルコ・プロデュースによる三谷幸喜の一連の傑作舞台ライヴが、DVD−ROMとのコンテンツではありますが、当amazonでも購入可能となりました。
今や演劇界のみならず、映画、テレビ、出版と八面六臂の活躍を見せる三谷ですが、彼は劇作家ゆえ、その真骨頂は、言うまでもなく舞台にこそあります。
東京サンシャイン・ボーイズ時代から、その舞台を追い続けている者として、いつも感心するのは、ほぼ毎年打たれる新作が例外なく面白いと言う事実です。
今回、amazonで購入出来る作品群は、三谷がテレビや映画の媒体でも成功し、広く世間にその名を知らしめてからの作品ばかり。
チケットを取るのもひと苦労なその作品群を殆ど総てライヴにて鑑賞し、またDVDも所有しているコアなファンとして、関心を持たれる方に、どの作品からご紹介しようかと考えた挙げ句チョイスしたのが「彦馬がゆく」です。
江戸末期の浅草、当時としては画期的な写真撮影を生業とする神田写真館の人々。
家長の彦馬(小日向文世)に妻の菊(松金よね子)、長男陽一郎(伊原剛志)、次男金之介(筒井道隆)、それにひとり娘の小豆(酒井美紀)からなる賑やかにして微笑ましい名もなき一家が目撃する激動の幕末期。
写真館だけに、時の有力者たちが相次いで訪問。その顔ぶれも、坂本龍馬、桂小五郎、西郷隆盛、高杉晋作、伊藤博文、近藤勇、つまり、その後の“歴史”を作った錚々たる面々。
幕末を動かした偉人たちが右往左往する全5幕。計3時間半にも及ぶ長編です。
とにかく、三谷らしい軽妙な台詞の応酬とテンポ良い展開が絶妙。
幕末から明治維新を疾風の如く駆け抜けた偉人たちも、三谷の手に掛ると、どれもデフォルメされるだけではなく、極めて人間的なキャラクターと転じます。
その滑稽さと情けなさ、でも、みな愛すべきひとりの人間として描かれているんです。
温水洋一の西郷隆盛、梶原善の桂小五郎なんて、そのキャラ像だけで、笑いがこみ上げてきます。
NHK「新撰組」とはまた違う三谷流幕末ドラマ、大いに笑わされながら、時代の濁流にのみ込まれながら、幕末を生き抜いたのは偉人たちばかりではなく、庶民もまたそれぞれに強く生きていたとの思いを感じさせます。
「それでは、人生で一番愉快だった日の事を思い出して下さい」
「メリー・クリスマシ!」
「左から〜、ひとり置いて、〜」
ご鑑賞された方たちなら思わずニンマリしてしまう事請合いの数々の名セリフと共に、三谷の傑作舞台をどうぞお楽しみ下さい。
(付記)今商品ソフトは、飽くまでDVD−ROM版ですのでお間違えのないように!
DVD版を購入したい方は、PARCO通販にて可能です。