A Multitude of Sins: Golden Brown, the Stranglers and Strange Little Girls
アメリカかイギリスのアマゾンでの書評で、
“この人がわからなくなった”みたいな評価がありました。
コアなファンだったらそんなものでしょうか。
私は後追いのファンだったので、
ヒューの脱退には距離を置けます。
この本は脱退の経緯からはじまります。
「これが聞きたいんだろ?」と多少投げやりな感じがありますが、楽しめます。
それから後は、生まれた時からの成長譚。学生時代からストラーグラーズの売れ始めまで結構読み応えあります。
ただ、その後は時系列ではなくなります。
すでに知られていることだからなのか、未だに整理できてない問題があるのか知りませんが。
そうであっても普通に回想録としては面白いですが。
本論以外では、面白い論点が述べられています。
ミュージシャンにとってアメリカという市場の持つ重さであるとか
(なぜクラッシュが最後には売れて、ストラングラーズがダメだったのか)。
後、以前、公表されていた獄中記が再録されています。ファン以外でもイギリス社会に関心がある人にもお勧めです(本人はそうとう参ったようなので気の毒ですけど)。
Raven
よろしいなーやっぱこれ。アナログで最初に聴いた時の感激が蘇る。当時も何だか賢い人の愚痴を聴いている様な気がしたもんですが、今もその印象は同じ。でもサウンドはかなりよく整理されてて、これと同時にヒューのソロ、ジャンのソロ、来日とどれも濃い内容に圧倒されたもんです。いや、昔話しはともかく、現在も全く面白く聴ける彼等の初期ー中期の傑作。ここにはヒューがいる、痩せたジャンがいるっ!あの絵がないとストラングラーズじゃないよナア。今もヒューのソロは良いし、よっぽど基本設計がしっかりしてたんでしょうな、このバンドは。バッチリやりたいようにやれてるじゃん。
Feline
1983年1月1日リリース。録音は1982年12月、ブリュッセルのICPスタジオ。彼らの7枚目のアルバム。
前作『La Folie』は全英第4位まで上昇し、かなり商業的に成功したアルバムだった。本作はほぼその流れと作風をそのまま継承している感じの仕上がりだったが、そこまでの成功には至らなかったようだ。しかし、ぼくはこちらのアルバムの方が気に入っている。まさに予測不可能でどう展開するかわからない魅力がこのアルバムで完成している気がするからだろう。
特に好きなナンバーは、『All Roads Lead to Rome』。ひねくれたキーボードが気に入っている。後にボーナス・トラックが6曲も(米盤は7曲も)追加されている。なかなかサービス精神旺盛である。
The Video Collection 1977 [DVD]
ファンではあるけど地方に住んでて外タレのコンサートに行けなかった人は多数いると思われます。私もその一人です。
このDVDはクリップ集ですがGRIP,PEACHES,HANGING AROUNDのライヴもあり、貴重な一枚です。
16年程前ではTVにも稀にしか放送されなかったクリップがあります、SOMETHING BETTER CHANGE,STRAIGHTEN OUT です。このshoutに惹きつけられファンになりました。
LPアルバムでしか聞けなかった曲が映像で再現され一層彼らの主張が感じられます、決して聞き流してはいけない曲集だと思い知らされるDVDです。
デヴューの1977年から1982年の5年間は内から外へ向かっていく変化がはっきり表れていて、それがこの一枚に凝縮されています。今から22年前にこれ程の内容を歌っていたのかと感慨しきりです。
当時中一の私には理解できませんでした。今はこのDVDを観て時を取り戻すとともに大人になった今の自分は何を考え、何をすべきか思案させられています。
ヒルサイド・ストラングラー 丘の上の絞殺魔 [DVD]
この手の実話犯罪物は映画化すると実際とは全く別の物になることが多いが、本作品は及第点。今まで見た中ではおそらく一番再現性が高い。
実はこの犯罪、犯罪そのものよりも裁判の過程の方が犯人の人間性が出て酷いのだが、さすがに話がグダグダになるので削ったのだろう。
警官志望→偽セラピスト→ポン引き→連続殺人という流れは人間の転落がいかに簡単に起きるかを思い知らされる。まあ元々の資質に問題があったのだろうが。
女性蔑視や女性敵視が根底にあると思われるこの犯罪では、自分の妻にだけは固執し哀願してまでも側にいようとする真逆の一面も見られる。
再現性の高さにだけこだわると映画として破綻することが多いが、この作品では何とか崖っぷちで踏ん張っている。