文章読本 (中公文庫)
この本はおもしろい。味があります。なんど読んでも味がある
するめのような本です。
名文を読むこと、達意(相手に伝わる文)ということ、そして
書くに値するものを持つこと・・・などが、豊富な引用文とともに
解説されていて、考えさせられます。
わたしは絵が好きなので特に、イメージと論理の章が興味深かった。
イメージ(描写文)は上手に使うと強い印象を与えるが、下手に使うと
曖昧な意味になってしまい、文章が論理的に成立しにくいという解説です。
それでは、描写文でなく小説の挿絵でも、文章を補う力になれるのが
挿絵として上手い絵であり、文意に添う何かを伝えることが著者の言葉を
換言するなら、描くに値すること、なのかなと思いました。
なんども読み返したい本です。
思考のレッスン (文春文庫)
丸谷才一が、インタビュー形式で思考の各段階における秘訣を語った本。
特に「内容をあるものを書け」という主張と、そのための独創的な発想をどう捕まえるかが彼自身による文学上の発想を例にしながら示されている。その論理展開は明晰で、痛快ですらある。
How-toものではない。書名に示されるとおり「レッスン」の指針であるから、これに則って自ら取り組まないと意味がないのだ。しかし、その第一歩を踏み出す勇気を与えてくれる語り口である。