
蒸発旅日記 [DVD]
漫画家つげ義春のエッセイ「蒸発旅日記」を元に他の作品も取り入れて映画化した作品。
色鮮やかに映像化された独特の世界は、つげワールドというよりもアングラ舞踏的な
香りが濃厚です。同じ映画なら「無能の人」の方がつげさんの世界を比較的忠実に映像化
しようとしています。ですから全然別個の作品として楽しむのが正解でしょう。
あまり一般に知られていない俳優さんを起用したのは正解だと思われます。
無名の女優さんたちがそれぞれ魅力的でよかったです。
映像的には特に驚きといったものは感じられませんでした。
なんといっても原作のつげさんの行動が一番インパクトがあるのですから。
特典映像で動くつげさん本人の姿がたっぷり拝めます。
お元気そうで、とてもうれしくなってしまいました。

ねじ式 (小学館文庫)
この本とのお付き合いは長い。学園紛争が華やかなりし頃、一部の大学生に熱狂的に支持されたというつげ義春。大学教授が真面目に彼の作品について語っていますが、べつに難しく考えないで読めばいいのです。「ねじ式」は彼の言うとおり夢で見たのを漫画にしたのでしょう。そこに思想性を付加させようとすると逆に離れていってしまう。理屈なんて本当は必要ないのです、つげ義春に。この本の中でお気に入りなのは「長八の宿」。爽やかな感じがしますから。ちなみに「ゲンセンカン主人」は映画化されましたがあの映画は駄目ですね。NHK制作の「紅い花」に遠く及んでいませんでした。
今の若い人は確かに奇異に感じるかもしれません。現代コミックを見慣れた人からすれば、彼の作品はなんじゃこりゃと思われても仕方ないでしょう。けれど昨今のコミックが使い捨てに読まれているのに対して、つげ義春の作品はなにか心に引っかかるものがある。それです。そう感じさえすれば彼の世界に入ってゆけるのです。

つげ義春ワールド ゲンセンカン主人 [VHS]
つげワールドをいろいろな監督が映画化していますが、この作品は自然ですね。監督の存在が感じられない程自然です。前世、因果、を感じさせる詫びたエロスが漂っており、なんとなく好きな映画の一つです。群馬県の湯宿温泉の大滝屋がモデルらしいのですが、見事に老人しか泊まっていなかったり、隣の部屋からお経が聞こえたり、混浴温泉で何かの拍子に、中年女性の女性器が丸見えになったりと、若い頃の、つげ本人の強烈な体験が土台になっているそうです。リアリズムの宿もそうでしたが、もの凄い旅館に出会う運命なのでしょう(笑)つげ本人もこの映画に出演しています。この中の物語では、李さん一家、ゲンセンカン主人が、とても好きです。なぜだろう?不思議なせかいで、つげワールドが色濃いからなのでしょうね。池袋百店会は、映画にすると、よくあるメロドラマのようで、イマイチでした。評価は3と4の間です。

無能の人 [DVD]
無能であることを受け入れるといかに物事が見えてくるか。
積極的ではなくて,無能であることの壊。
まんが版と遜色なく実写化されていてまんが版を超えることも時々ある。
竹中直人の才能光る。
こんな現実はないのに「或る」

うみべのまち 佐々木マキのマンガ1967-81
表題作の「うみべのまち」が大好きで買った本ですが、
厚さとその一コマの情報とイマジネーションの量の多さに、
とても読み切れません。
ひとつひとつ、スルメ味わうようにかみしめてます。