
ナイト・オン・ザ・プラネット [DVD]
オムニバス形式の作品。ジャームッシュは最近観ていない。いや、そもそも映画自体をあんまり観ていないのだなあ。選挙番組一色の一夜。久方ぶりにレンタルDVD三昧(やや誇張気味)。
本作を観るのは2回目。ロベルト・ベニーニ演じるローマのタクシー運ちゃんが爆笑だ!!
地方都市の稼動でよくタクシーに乗るが、こんなに愉しいことはないな! 景気が悪いと言う話ばかりだ。
これで人気を博したベニーニは『ライフ・イズ・ビューティフル』というヒューマンドラマを製作、主演したが、こちらはいまひとつだと思った。真面目な映画ではあったが。
ジャームッシュの最高傑作が何かはわからないが、本作は掛け値なしに愉しめる。小難しい映画ではない。
ウィノナ・ライダーもよいが、ジーナ・ローランズも渋い。トータルでは少々甘いが★4つ。

タクシードライバー【字幕版】
元米海兵隊員で、夜眠れない男(ベトナム戦争の後遺症?)トラヴィスは夜勤のタクシー運転手になる。美しい女性と出会うが、女性との付き合い方がよくわからないため、振られてしまう。トラヴィスはその後、13歳の売春婦アイリスを「救助」。荒っぽいやり方ではあったが、このことで一種のヒーローとなったことは、今まで社会との付き合い方が不器用だったトラヴィスが彼なりの「成熟」を成し遂げたようにも自分には感じられた。最後のシーンがそれを象徴しているようだ。
独特の雰囲気のある社会派映画で、70年代のアメリカの雰囲気を知る上でも参考になります。

タクシードライバー―最後の叛逆 (幻冬舎アウトロー文庫)
やってくれた。
このシリーズは、「狂想曲」も含めれば、全4作ある。
僕は、二冊読破して、次に手に取ったのがこの「タクシードライバー最後の叛逆」である。
いくら10年タクシードライバーをやっていたからと言っても4冊も書けば、どれかひとつ位イマイチな物もあるんだろうなぁ・・・と、思っていたが、まったくの杞憂であった。
骨太で、乾いた文章。
ただ、事実だけを淡々と述べる相変わらずの梁 石日節に魅了され、あっという間に読んでしまった。
相変わらず、面白い。
警察の姑息とも言える道交法違反の実態をこれでもかと言うくらいに断罪している。
確かに、これをそのまま体験したら、僕なんかタクシー運転手なんて辞めてしまうかも・・・。
官憲という権力にも果敢に挑む梁 石日の反骨精神はなんとも言えず、カッコいい。
ただ、飲酒運転に関して寛容な態度示している章があるが、これは・・・、どうなんだろうか?
飲酒を禁止されている他国の人達は、荒っぽい運転で事故は、日常茶飯事だという。
飲酒と、事故との因果関係は果たしてどこまであるのだろうか?と、梁 石日は疑問を呈しているが、コレに関しては、ちょっと日本人には受け入れずらい考えではないだろうか・・・。
僕としては、運転する以上は飲酒は控えてもらいたい。
でも、そんなことも含めて楽しく読めた一冊でした。

働くということ
広い世代の人々の働き方を取材し、その多様化を如実に示すものとなっています。会社を辞めて独立したり、大企業からベンチャーへ行ったり、会社内でも新規事業を立ち上げたり…。成功して結果を出した人だけでなく、将来に向けて努力している最中の人も追っているし、ワークライフ・バランス的な問題も視野に入れ、またフリーターに対して頭ごなしに否定的な見方をしてはいないなど、取材姿勢には概ね好感が持てました。“ひとり「プロジェクトX」”みたいな話も多く、じっくり読むとグッとくるものもあります。
こうしたワークスタイルの多様化は、本書の中で元祖『働くということ』の著者・黒井千次氏が指摘する「昔は企業に身売りしたが、今は企業が脆弱になり、全部を売ろうとしても買ってくれない」という状況と、ある意味で対応関係にあるのではないか。企業内で会社に対し“不満”を言っていた時代から、企業内にいること自体に“不安”を感じる時代へ社会的ムードがシフトする中、自らが働くことの意味は、困難ではあるが自らの経験を通じて探すしかないという時代が来たのだ思いました。

映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION)
1967〜79年にかけて制作・発表された,12本のハリウッド映画を中心に論じた映画評。なぜこれらの作品をチョイスしたのかは「はじめに」で説明されている。いずれの作品も,映画ファンならずとも見たことがある(少なくともタイトルは),超有名作品ばかりである。
立川志らくなどは公言しているが,映画の評論というのはしばしば評論家自身の「感想」に終始している。読む人がいる以上,これが悪いということにはならないと思うが,この場合,評論家とただの観客を分かつのは,映画の解釈の巧拙という一点である。
しかし,本書の立場はそうではない。「絵画の研究がスケッチや習作,X線で見える描き直しの跡を調査するように,シナリオの草稿や企画書,関係者のインタビュー,当時の雑誌記事などに当たって裏付けを取」るという方法論で,本書は書かれている(巻末に文献・資料の一覧がある)。つまり,評論家とは,観客に対して映画を見る際のガイドラインを提示する立場にある。評論家と観客は,次元の違う場所にいるわけだ。
というわけで,本書は,私のような映画の初心者にもおすすめできる本である。難解といわれる映画も紹介されているが,奇をてらった「解釈」ではなく,映画を読み解くための背景が丁寧に説明されていて,むしろ読みやすく分かりやすい。一度見た映画はもう一度,敬遠していた映画は思い直して,「見てみようかな」と思わせる書きぶりだ。映画の中級者・上級者の方々が,本書に対していかなる評価を下すのかはよく分からない。が,30年も前のしかもメジャーな作品を,あらためて「解説」してみせるのには,相当の力量が要求されるに違いない。本書の初版は2002年だが,私が先日買ったのは,2011年6月のなんと第16刷である。
いずれにせよ,映画を見る際の参考になるのは確かである。詳しく紹介されているのは以下の12本(本書の順序による)。
2001年宇宙の旅/俺たちに明日はない/卒業/イージー・ライダー/猿の惑星/フレンチ・コネクション/ダーティーハリー/時計じかけのオレンジ/地獄の黙示録/タクシードライバー/ロッキー/未知との遭遇