
ポートピア連続殺人事件密室殺人の謎 ファミコン冒険ゲームブック8
ファミコンで大ヒットしたポートピア連続殺人事件のゲームブック版。
内容はファミコン版とほぼ同じですが、必要最小限の文章だったファミコン版に比べ、
格段に描写が増え、新鮮な気持ちで遊ぶことができます。

ポートピア連続殺人事件
ファミコンでは反射神経が要求されるアクションゲームが、
ゲームとして扱われていた時代に、
ファミコン史上初となるAVGがパソコンから移植された。
開発チュンソフト、発売エニックス。
そして、原作はご存知、
『ドラゴンクエスト』でお馴染みの堀井雄二氏、と豪華。
この作品にはサスペンスの世界に欠かせない、
「密室」,「アリバイ」,「連続殺人」など、
探究心を刺激するキーワードが多く登場。
そして、地下迷宮や暗号の解読など、
日常生活では体験できないスパイのようなシチュエーションをも
盛り込み、私たちファミっ子を楽しませてくれた。
みる、しらべるなどの指示をだすのは
ボスであるプレイヤーで、部下のヤスがそれを実行する。
グラフィックをはじめ、行動がボスの視点で描かれているため、
ボスとプレイヤーとの体験が完全に一体化している。
はじめは、このシステムについて、
単に刑事ドラマのようにコンビを組んで捜査をする様子を
表現したかったのだと安易に思っていたのだが、
クライマックスではこのカラクリを使った理由を
知ることになり、なるほどとうなずく。
そう、堀井氏は早くから、
このシステムでしか成し得ない方法でAVGを表現していたのだ。
この作品は、フラグチェックされていないシーンがいくつかあり、
プレイの仕方によっては前後の話がつながらない事態も起こる。
また半導体が高価な時代に発表されたこともあり、
バッテリーバックアップがなく、
またパスワードによるゲームの途中記録すらできない。
そしてBGMもなく、グラフィックも寂しい。
なじみのあるスタイルではないが、それらは『ポートピア』の味。
このあたりの事情は堀井氏のファミコン版AVGの次作である、
『オホーツクへ消ゆ』への課題となったのではなかろうか。
堀井氏にはまた是非とも、このようなAVGを制作していただきたいと思う。
※AVG‥‥アドベンチャーゲーム
※評価5点は当時の衝撃を考慮してのもの。