
その男 ヴァン・ダム [DVD]
最近は“ポニー・テール”を切ったライバル=スティーブン・セガールに筋肉俳優としての座を奪われがちなジャン・クロード・バンダムが劇中で自らを演じるという、メタ・フィクション的な一風変わった味付が特徴の作品だ。
今年で48歳になるというバンダムは、私生活では4度結婚して4度とも離婚。今は3度目の奥さんと暮らしているというダメダメぶり。本業の映画俳優としても、DVD直行のB級アクションムービーへの出演ばかりでパッとしないどころかジリ貧の一方だ。
そんな“落ち目”のバンダムが親権争いの裁判の帰り道、ふと立ち寄った地元の郵便局。そして突如、シャッターが下ろされた郵便局内で発射された一発の銃弾によって事態は急変する。この後もバンダムの裁判費用を工面するため思い余っての犯行かと想像させるシーンが連続するのだが・・・。
郵便局に駆けつけるベルギー警察と突入部隊。地元のヒーローを応援?しようと駆けつけたヤジ馬たち。この辺は、いわゆるストックホルム症候群を描いたアル・パチーノ主演映画『狼たちの午後』をベースにしているそうなのだが、本作品は自虐ネタ満載のセルフ・パロディなので笑うところがちゃんと用意されている。
どこがパロディなのか説明してしまうと必然ネタばれになってしまうのであえてここでは語らないが、バンダムが観客に向かって自身の人生を振り返り懺悔するシーンなどもあるので一瞬マジなのかと思わせる演出が新鮮だ。いずれにせよ、ポニー・テールを切ったり州知事になんかならなくとも、こんな洒落たイメチェンの仕方があったとは驚きの一本である。

その男 ヴァン・ダム スペシャル・エディション [DVD]
既にスターとして第一線から離されてしまった感のあったヴァン・ダム。
彼がセルフプロデュースして作りあげられた本作は往年の彼を知るファンであれば必ずニヤニヤしながら、観ることが出来るでしょう。
ひたすら哀愁を漂わせるヴァン・ダム。毎回無意味に肉体をさらし、無意味なベッドシーンを要望していた彼ではありません。
それでいて冒頭のアクションでは、まだそれなりに身体が動くことを証明してくれたのはさすがです。ただ劇中ではワンカットという設定らしいですが、よく観ると編集でつながれてました。
ラストシーンは感動しますよ。