
ショーケン
読み応えありました。今まで知りたかった裏話(テンプターズ、太陽にほえろ、傷だらけの天使、前略おふくろ様、黒沢明、マザーテレサ、松田優作などなど)がすべて読めました。特にブラックレインのくだり、興味深かったです。もしショーケンが佐藤役をやってればと思うとゾクゾクします。彼はまさに日本のデニスホッパー。デニスホッパーがブルーベルベットで表舞台に復帰したのも50過ぎ。遅すぎることはないです。ショーケンの第2章、楽しみにしてます。ただ読んでいて涙が止まらないくだりがありました。いい本でした。

日本映画[監督・俳優]論 ~黒澤明、神代辰巳、そして多くの名監督・名優たちの素顔~ (ワニブックスPLUS新書)
俳優萩原健一(ショーケン)直接会い、意見を交わした日本の名監督らのエピソードが興味深い。
といっても、監督論だの俳優論だのという堅苦しいものでは全くなく、インタビューアーとの問答形式で綴られている為読みやすい。
しかし、とかくエキセントリックな印象が強い萩原健一という男が意外に冷静で、礼儀正しいということに驚かされた。一時は酷い状態だったが、まるで憑き物が落ちたように落ち着いている。
これも年齢のなせる業なのか?
世界に名を馳せる黒沢監督に対しても彼は全く臆せず、逆に、監督がどうでるかを確かめるために故意に投げつける言葉が面白い。『世界のクロサワ』を世界扱いしていないのだが、そのクロサワ映画に出た萩原の演技がどうかと言われれば、それほどでもなかった気がする。
終盤にGS時代の話が出るが、その時がエピソードが最も印象深い。なにせウッドストックを生で観たのだから…。ジミ・ヘンドリックスを生で観て、楽屋に行けば、ロッド・スチュワートがミック・ジャガーに「お前は歌が下手だな。」などと言っている会話を耳にするなど驚きの数々。彼は時代の生き証人だったのだ。

ANGEL or DEVIL
まずはショーケンがまた歌ってくれた事に感謝!。
生ぬるい歌謡ポップスが横行している中、やはりこれだけのロック・パフォーマンスを披露してくれるシンガーは日本でもごく少数ですから。パンタやジョー山中、近藤房之助、瀬川洋といった肝の入ったロックを聴かせてくれるシンガーって、本当に少なくなりました。
バックはかつてのDonjuan R&R BandでもAndree Marlrau Bandでもない新バンド。録音の関係か、バンドの音に膨らみがなく平べったい印象なのが残念でした。やはり“音の深み”という点ではDonjuanが一番よかったように思います。ただし「神様お願い」におけるこの新バンドの演奏は、Rollong Stonesを彷彿させる荒さと粘りのバランスが俄然良く、アルバム中最高の仕上がりとなっています。
選曲もベストに近いものだと思います。特に、封印していた「エメラルドの伝説」「神様お願い」がニューアレンジで入っている、これだけで買う価値があります。「神様お願い」はこのアルバムのハイライト、頂点の楽曲と言えましょう。ヴォーカルも演奏も非常に熱く、炸裂寸前!。完全にレッドゾーンに入ってしまった雰囲気での疾風感が驚異的。完全に針が振り切った状態です。
邦楽では久々にロックらしいロックを聴きました。このアルバムを一言で言うと、アルバムの隅から隅までの全てが「ロックとは何だ?」という問いに対する回答となり得るアルバム・・・です。

八つ墓村 [DVD]
私も小学生の時TVで見てトラウマを受けてしまった人間の一人です。何しろ2-3か月の間、夜一人で寝ることが出来ずに父親に添い寝してもらっていたくらいでした。 30過ぎになるまで,私はホラー映画が大嫌いで、ほとんど見ることがありませんでした(今はおくれを取り戻さんとばかりに結構見ていますが)。理由をいろいろ考えてみるに、どうもこの映画が原因だったのではないかと思います。恐い話はそれ以前から苦手だったのですが、今振り返ってみると、この映画が最初から最後まで見た初めてのホラー映画(ではないんでしょうが、私の中ではそうなっています)だったような気がします。免疫ほとんど0の状態で、初めて見た怖い映画がこれじゃあ、ホラーをその後見れなくなったのも無理はないでしょう。
ーで、20数年ぶりに友達と一緒にこの作品を見直しました。さすがに今見ると落ち武者惨殺のシーンなんか全部作り物とわかってしまい、それほど怖くはありませんでした。 しかしそれとは別に、映画そのものの完成度に驚かされました。あの狂走する山崎努を横からとらえたスローモーションなんか、ちょっと息をのむような美しさ。犯人がクライマックスで見せるあの“眼”なんか、恨みの固まりと同時にどこか悲しそうで、怖いやら美しいやらー、もう何とも言えません。 物語自体はめでたしめでたしで終わりますが、何とも言えない不気味な感覚は観客の胸に永遠に残ります。これぞ真のホラー(って、ホラー嫌いのくせに言ってるよ)。
近年、欧米人の間で日本のホラー映画はブームになっていますが、彼らのほとんどは“八つ墓村”を見ていないのです。何とも口惜しいじゃありませんか。 いつか見せてやりたい、と思うのは私だけでしょうか?